◆観世(かんぜ)
所在:久御山町市田(いちだ)字観世
地形図:宇治/京都島南部
形態:川沿いに家屋が少数集まる
標高:約10m
訪問:2024年5月
大字市田の中部、古川(宇治川支流)左岸にある。対岸の水田地帯はかつて広大な巨椋(おぐら)池であったが、干拓により現在のような風景になった。
現地での聞き取りによると、現在の排水施設の付近に2軒あり、早い時期に転出したという。付近の畑はもと水田であったが、氾濫による土砂の堆積で畑として耕作されるようになったとのこと。
また川沿いにある祠(写真3)は、元からこの位置にあったものではなく別の場所から移されたものであるという。
町史によると、巨椋池は宇治川・木津川・桂川などが流入する一大遊水池で、漁業や農産物の水運が盛んに行われていたという。しかしたびたび洪水に悩まされており、河川の改修や堰の建造などを経て、昭和8年より干拓工事が着工、戦後すべての池が干拓され、池は消滅した。
また市田の小字に「観世」が見られ、「カンゼ」のルビが振られている。
湖畔にあった人家は、先述のように漁業や農産物の水運に従事する家々であったのだろうか。
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