戻る 前へ 次へ 市町村選択ページへ 都道府県選択ページへ トップページへ

 

◆舟見茶屋(ふなみぢゃや)

所在:那智勝浦町口色川(くちいろがわ)
地形図:紀伊大野/新宮
異表記:船見茶屋
形態:稜線上の一軒家
標高:約870m
訪問:2024年8月

 

 大字口色川の中部、舟見峠付近にある。熊野参詣道のうち、中辺路(なかへち)の大雲取越(おおぐもとりごえ)に設けられた茶屋のひとつ。
 資料『紀伊国牟婁郡名所図会』(原本は江戸時代後期のもの)によると、「大雲鳥坂」の解説中に、「舩見茶屋 五十五丁目にあり 此所よりも海上を見わたし風景なり はるかに帆舟をみるゆゑ舟見茶屋と号く 一けん家なり」とある。

 付近の林道より、斜面を登り訪問。現地は参詣道沿いに平坦地が広がっているが、茶屋があったのは参詣道から少し登った小高い場所。ここには東屋が建ち那智方面を望むことができる。参詣道沿いの平坦地は住居の跡であったか。
 無人となった時期は不明だが、大雲取越の説明板(那智高原公園に設置)によると、熊野の茶屋の最盛期は江戸時代であったが、明治維新後に国内の宗教的・社会的な変化により参詣者が激減し、便利な場所にあった店を除きすべて廃業したとのこと。
 茶屋跡から北へ道なりに260mほど進むと、舟見峠の立て札が立てられている。「883m」とあるが、実際の道の標高は870mほど。
 以下は現地の説明板より。


 舟見茶屋

 舟見茶屋は、南に那智勝浦と太平洋の絶景を望む舟見峠の頂上に位置していました。(舟見とは、「舟を見る」という意味)。本宮地域から大雲取越を通って熊野那智大社に向かう参詣者にとって、ここは最初に目的地の姿を遠望できる場所でした。また、本宮に戻る人々にとっては、振り返って那智に最後の別れを告げる場所でした。いずれの場合も、参詣者たちは茶屋で足を休め、海抜800メートルの大パノラマの景色を楽しみました。
 現在、かつて茶屋が建てられていた礎石の上にはあずまやが立っています。

 那智勝浦町


 なお「茶屋」の読みは、説明板や道標などのルビ・ローマ字表記では多く濁音となっているが、清音のものも見られる。

 


写真1 茶屋跡


写真2 茶屋跡からの眺め。中央やや左は宇久井(うぐい)の市街地


写真3 説明板

写真4 説明板下に集められた陶片

写真5 参詣道と住居跡?の石積み

写真6 住居跡?の石積み

写真7 参詣道沿いの平坦地(住居跡?)

写真8 舟見峠

写真9 峠にて。墓碑か

 

戻る 前へ 次へ 市町村選択ページへ 都道府県選択ページへ トップページへ